AIに何でも聞いていいわけではない
重要な前提
ChatGPTなどのAIは非常に便利なツールですが、万能ではありません。AIに聞くべきではない質問や、回答を鵜呑みにしてはいけない分野があります。これらを理解することは、AIを安全に活用するための必須知識です。
AIは膨大な情報を学習していますが、その情報が常に正確とは限りません。また、法的・倫理的に問題のある質問には回答を拒否するよう設計されていますが、完璧ではありません。AIの限界を知ることが、賢いAI活用の第一歩です。
AIに聞いてはいけない・注意すべき質問
1. 個人情報に関する質問
AIに個人情報を入力することは、情報漏洩のリスクがあります。
入力してはいけない個人情報
- 氏名、住所、電話番号、メールアドレス
- マイナンバー、パスポート番号
- クレジットカード情報、銀行口座情報
- パスワード、暗証番号
- 健康診断結果、病歴などの医療情報
- 会社の機密情報、顧客データ
入力した情報は、AIの学習データに使用される可能性があります。また、第三者に漏洩するリスクもゼロではありません。個人を特定できる情報は、原則として入力しないようにしましょう。
2. 医療・健康に関する相談
AIは医師ではありません。診断や治療方針の決定はできません。
避けるべき質問例
- 「この症状は何の病気ですか?」
- 「この薬を飲んでも大丈夫ですか?」
- 「手術を受けるべきですか?」
- 「〇〇療法は効果がありますか?」
AIは一般的な健康情報を提供できますが、個人の症状に対する診断はできません。特に以下の場合は必ず医療機関を受診してください:
- 具体的な症状があり、対処法を知りたい場合
- 処方薬の服用について判断が必要な場合
- 精神的な問題で苦しんでいる場合
3. 法律・税務に関する相談
法律や税金の問題は、個別の状況によって判断が大きく異なります。
専門家に相談すべき内容
- 「この契約書にサインしても大丈夫ですか?」
- 「離婚時の財産分与はどうなりますか?」
- 「この経費は確定申告で落とせますか?」
- 「相続税はいくらになりますか?」
AIの回答は一般論であり、法的責任を負いません。重要な判断は、弁護士や税理士などの専門家に相談してください。AIは「どんな専門家に相談すべきか」を知るための入口としては活用できます。
4. 投資・金融に関するアドバイス
AIは投資顧問ではありません。具体的な投資判断を求めることは避けましょう。
- 「この株は買い時ですか?」
- 「今後の為替相場はどうなりますか?」
- 「老後資金を何に投資すべきですか?」
AIは過去の情報に基づいて回答しますが、未来を予測することはできません。投資は自己責任であり、金融の専門家に相談することをおすすめします。
5. 著作権・知的財産に関わる依頼
他者の創作物をそのまま複製・模倣する依頼は問題があります。
避けるべき依頼
- 「〇〇さんの文章スタイルで書いて」(著名人の模倣)
- 「この歌詞の続きを書いて」(既存の楽曲の無断改変)
- 「〇〇というキャラクターで物語を作って」(他者のキャラクターの無断使用)
- 「この記事を少し変えて自分のものとして使いたい」(剽窃の助長)
6. 違法行為や危険行為に関する質問
以下のような質問には、AIは回答を拒否するよう設計されています:
- 犯罪行為の方法(ハッキング、詐欺、暴力など)
- 違法薬物の製造・入手方法
- 武器の作成方法
- 他者を傷つける方法
これらの質問をすること自体が、利用規約違反となる場合があります。
AIの回答を鵜呑みにしてはいけない理由
ハルシネーション(幻覚)の問題
ハルシネーションとは
AIが事実と異なる情報を、あたかも事実であるかのように自信を持って回答してしまう現象です。存在しない論文の引用、架空の人物の経歴、誤った統計データなどを生成することがあります。
AIは「分かりません」と言うことが苦手で、何らかの回答を生成しようとします。その結果、もっともらしく見える誤情報を出力してしまうことがあります。
情報の鮮度の問題
AIの学習データには期限があり、最新の情報は把握していません。以下のような質問には注意が必要です:
- 最新のニュースや出来事
- 現在の価格や料金
- 法律や制度の最新の改正内容
- 最新の研究成果
安全にAIを使うための5つのルール
- 重要な情報は必ず裏取りする:公式サイト、専門書、専門家への確認
- 個人情報は入力しない:仮名や架空の情報で代用する
- 専門的な判断は専門家に相談:医療、法律、税務、投資など
- 「参考情報」として扱う:最終判断は自分で行う
- 情報の日付を確認する:最新情報が必要な場合は別途調べる
まとめ
- 個人情報、機密情報はAIに入力しない
- 医療、法律、税務、投資の重要判断は専門家に相談
- AIはハルシネーションを起こすことがあり、100%信頼はできない
- AIの学習データには期限があり、最新情報は把握していない
- AIの回答は「参考情報」として活用し、必ず裏取りを行う
よくある質問
Q. AIが間違った回答をした場合、どうすればいいですか?
A. まず、その回答を使用しないことが大切です。間違いに気づいた場合は、「その情報は間違っています。正しくは〇〇です」とフィードバックすることもできます(ただし、その会話内での修正であり、AI全体の学習には即座には反映されません)。重要なのは、事前に間違いを発見できるよう、複数の情報源で確認する習慣をつけることです。
Q. AIの回答はどこまで信じていいのですか?
A. 一般的な知識や概念の説明、アイデア出し、文章の校正など、「正解がない」または「大きな判断を伴わない」内容については、ある程度信頼して活用できます。一方、事実確認が必要な情報、専門的な判断を伴う内容、最新の情報が必要な場合は、必ず他の情報源で確認してください。「参考意見を聞く」程度の信頼度で接するのが適切です。
Q. 仕事でAIを使う場合、特に気をつけることは?
A. 会社の機密情報、顧客データ、未発表の製品情報などをAIに入力しないことが最も重要です。多くの企業では、AIツールの業務利用に関するガイドラインを設けています。また、AIが生成した文章や資料をそのまま社外に出す場合は、必ず内容を確認し、必要に応じて修正してから使用してください。責任はAIではなく、使用した人間にあります。
Q. 子どもがAIを使う場合、どんなことを教えておくべきですか?
A. 3つのことを教えましょう。1つ目は「AIは間違えることがある」ということ。宿題の答えをそのまま写すのではなく、確認する習慣をつけさせてください。2つ目は「自分の情報は教えない」こと。名前、学校名、住所などを入力しないよう伝えましょう。3つ目は「困ったらすぐに相談する」こと。変な回答が返ってきたり、怖いと感じたりしたら、すぐに大人に伝えるよう約束しておきましょう。
